【ネタバレ】アナ雪2 ②今作のテーマを考える

こちらの続きとなります。

ぜひ先にこちらをお読み下さい。

【ネタバレ】「アナ雪2 」①魔法の森とアートハランの正体とは!? - たぬきの部屋

 
2.  今作品のテーマを考える
2-1 悪役なし続投!
アナと雪の女王」はもともとエルサを悪役として配置しようとしていた話は有名です。

ダブルヒロインとすることで、悪役が消えてしまいました。

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(初期設定のエルサ姉さん)

 

今回もエルサは後述の通り、

ダークサイドエルサとなる訳ですが、

アートハランにて姿が真っ白のお姉さんとなり、ダークサイドな部分が分かりづらくなっております。

 

なにより、悪役ではなくてあくまでヒロインとして描かれています。

 

悪役がいないアナ雪2では、過去の自分たち(の家系)を悪役として配置されてました。面白いですよね。

 

ノーサンドラのダムがその象徴アイテムです。

 

2-2 テーマはエゴ!?

■アレンデール王国のエゴ

ノーサンドラのダムはエルサ達のお爺さん(前々アレンデール王国王様)がノーサンドラとの友好の為に贈りました。

 

しかし、それは政治的にアレンデールが上位に立つように意図されており、お爺さんはノーサンドラの指導者を後ろから斬りかかります。

 

これにより国同士の殺し合いの争いが始まります。

(ディズニーでこんなドロっとした部分を誰でもわかるように描くのはびっくりした…)

 

それに怒った自然の精霊達が天変地異を起こし、ノーサンドラは誰も出れない厚い霧に覆われます。

 

つまり

ダム=王国のエゴ→争いの源

 

これが無くなれば、争いはなくなって、自然も許すんじゃね?つまり、みんなハッピーやろってなってアナが頑張ってぶっ壊します。

 

「聞かされてた話と事実は別かもしれない」

「過去の過ちは自分達で今からでも修正することはできる」

 

というようなメッセージが含まれてるのではと感じます。

 

過去の過ちは、

僕たちには今できることしかするしかないんですね。

 

とても現代的なテーマだと思います。

 

■エルサのエゴ

エルサは、アレンデールの女王となって大人しくしておりましたが、やっぱり人間界は居心地が悪かったんでしょうね。

 

謎の声に導かれてノーサンドラとアートハランに辿り着きます。

 

作中を通して「本当の自分とはなんなのか」を模索するエルサですが、アートハランに行って漸く第5の精霊だとはっきりわかりました。

 

アートハランで、エルサは一回死にます。

(オラフがエンディングで「死んだ」と明言してましたね)

そこで別の次元のエルサになったのではと思います。(後述)

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その後、アレンデールはアナに任せてノーサンドラに残る道を選びます。

 

エゴと言ってしまったら乱暴ですが、

彼女は本来治めるべき彼女の国を治める道を選んだ。

それだけじゃないでしょうか。

 

その方がエルサも幸せですもんね。

 

例えば、貴方が英語が達者だとしましょう。

でもアイデンティティーは日本人。

 

大統領や首相となるならどっちがいいですか??

 

エルサも同じです。

 

過去のしきたりからの解放

(王位継承の王国で、継承権第一位の長女が女王を辞めるという新たな価値観の提唱)

自分の幸せとは

ということが読み取れると思います。

 

こちらも現代のアメリカぽい

 

2-3 劇中歌から読み取る「変化」
ミュージカル映画が苦手な人は「急に歌い出すのがすごく謎だし、恥ずかしくなる」という内容で拒絶反応を起こすと思います。

 

言いたいことはわかります。

 

でも、ライブ行ったら大声出しますよね。

 

歌ってそんな感じです。

 

もう、歌いたくてしょうがない!!心が歌いたがってるんだよ!!

 

歌=本当に伝えたいこと

 

なので、歌に作者が伝えたい事が詰まってることがよくあると思います。

 

本作の歌について見ていきましょう。

  1. 魔法の川の子守(ママの子守唄)
  2. ずっと変わらないもの(アレンデールのみんな)
  3. イントゥ・ジ・アンノウン(エルサソロ)
  4. おとなになったら(オラフソロ)
  5. トナカイの方がずっといい/恋の迷い子(クリストフソロ)
  6. みせて、あなたを(エルサソロ)
  7. わたしにできること(アナソロ)

 

2-3-1 魔法の川の子守唄

Frozen2 "All is Found" Piano version. アナと雪の女王2「魔法の川の子守唄」ピアノアレンジ

YouTube

魔法の川の役割は、エルサが自身について知ることができる場所ではないでしょうか。

 

つまり、

エルサが本来の自分へと成長する場所

 

それだけで、この「川」は今作において非常に大事だということがわかりますね。

 

そしてこの川とはアートハランのことです。

 

2-3-2 ずっと変わらないもの

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YouTube

(ピアノアレンジしましたよ〜!)

 

この曲は主要メンバーそれぞれの変化についての想いが歌われます。背景的には、秋の収穫祭の際の曲だそうです。季節の説明にもなってるんですかね。

 

■アナ

季節が過ぎて歳を重ねても、友情や今の生活は決して変わらない!

Like an old stone wall, that will never fall.

古い石壁が決して崩壊しないように

Some things never change

ずっとかわらない

 

■オラフ

大人への憧れ

And my leaf’s a little sadder and wiser

僕の葉っぱはちょっと枯れちゃうけど賢くなる

And you all look a little bit older.

みんな少しずつ成長して見える

 

■クリストフ・スヴェン

アナへの気持ちは変化しない。な?スヴェン

ス「任せろや」

some things never change

ずっとかわらないもの
like the love that I feel for her

それは彼女に対する愛のように

 

■エルサ

今めっちゃ幸せなんだけど、変化を求めてるのかも…わからん。

I’m not sure I want things to change at all

変化を求めるのかどうか、全くわからん

These days are precious
Can’t let them slip away

この日々は貴重で、手放せねぇよ…

 

明らかにエルサ姉さんの様子がおかしいですよね(笑)

 

はい、もう全部フラグです。

しっかり大サビ前でみんなで旗(フラッグ)掲げてるのは直喩??笑

 

2-3-3 イントゥ・ジ・アンノウン

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エルサ姉さんのソロです。

ずっとアレンデールで生きていて、みんなと違うという違和感を抱え込んでいました。

そんな時、謎の声に反応して本当の自分を探す旅に出ることを決心するとても大事な曲です。

 

1番では「今の生活があるから声が正直怖い。無視させてもらいます」と話してますが、2番では、様子が変化します。

Or are you someone out there who’s a little bit like me?

(謎の声は)それとも私に似た誰かなの?

Who knows deep down I’m not where I’m meant to be?

私がいなければいけないところに居ないことを知ってるの?

ここで大切なことは「声」はなにも言葉は発しないことです。

エルサが自分で勝手に解釈して、勝手に声の主を求める判断をします。

 

つまり、

旅に出たいということが本音

=変化を求めてる

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YouTube

 

2-3-4 おとなになったら

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ノーサルドラに着いた際のオラフのソロです。

精霊達による怪奇現象に襲われるオラフは、「今は怖いけど、大人になったら怖くなくなるわ。」って歌い上げます。

 

今作のオラフはやけに大人への憧れが強く出ているように見えました。

 

わざわざ3分弱の時間を使ってオラフに歌わせるにはやはりそれなりの意味があると思います。

 

今作の「今恐ろしいけど、実は普通なこと」それは・・

 

・ノーサルドラ本体

・エルサ自身について

 

ですよね。

 

Cause when you’re older

大人になれば、

Absolutely everything makes sense

全て完璧にふつうになる

 

考えられるメッセージとしては以下の2点です。

 

・ノーサルドラは今は恐ろしい場所だけど、本当はに何でもない地なんだよ

 

・魔法の力が増すエルサは恐怖心を抱えてるかもしれないけど、実はそれはなんでもないこと

 

2-3-5 トナカイの方がずっといい/恋の迷い子

アナに置いてかれたクリストフのソロです。

困った時、やはり彼はスヴェンを頼ります。

彼はスヴェンに決定してもらって初めて動きます。

(「ずっと変わらないこと」で"Sven, the pressur is all on you."と全責任をなすり付けているのも印象的です。)

 

しかし、アナと出会ったことで、アナが彼の行動動機にもなり始めていました。

別の価値観を提案し続けてくれ、彼女のためにいつも一歩を踏み出せていました。

 

そんな光とも呼べる人が急に目の前からいなくなったらどうでしょうか。(辛い!!)

 

またかつての自分(スヴェン任せ)の判断生活に戻されるわけです。

つまり、一歩が踏み出せずに森の中で迷子となるわけです。

 

この曲は唯一、ストーリーの中でも話が進まない楽曲とも受け取れます。

 

これはあえて進行させないことでクリストフの足踏みをしてしまってる様子を表現させているのではないでしょうか。

 

クリストフの中での変化するためのアイテムは、アナだったんです。

(エルサは魔法の川・アナはエルサ)

 

2-3-6 みせて、あなたを

アートハランに着いた際のエルサのソロです。

超絶楽しそう。

ここまで来るとエルサ姉さんの力は果てしなく強力なものとなってます。

 

歌いながら走ったことありますか?

息切れますよね。

 

歌いながら、走って飛んで、氷の塊をどんどんどかして、奥にズンズン進んで行く姉さん

 

ママに出会い、本当の自分へと変化する貴重なシーンです。

 

真っ白な姿で、髪を下ろしたエルサ姉さん。

 

一回死んだ姉さん

 

正直人間を辞め、超越してます。

 

まさに逆ダースベーターです。

 

もはや最強です。

 

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2-3-7 わたしにできること

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アナ様のソロです。

エルサ姉さんが死んだことでオラフが死に、光がなくなったアナちゃんです。

クリストフ同様、どうしたらいいか分からなくなってしまい、泣いてしまいます。

 

しかし、

ここからがアナ様の強いところであり、

魅力であり、

クリストフとの大きな違いです。

 

Just do the next right thing

次の正しいことを、ただするの。

Take a step, step again

一歩、また一歩と。

It is all that I can to do the next right thing

それしかできない。私にできる次の正しいことをする。

 

この後、エルサが生き返ることを知らずに

自分の故郷のため、しかし自分の故郷を失うことにもなる行動を取ります。

かつての王国のエゴであった、ダムの破壊です。

 

ノーサルドラのため、アレンデールの第二王女としての自分が今できることを行うわけです。

 

古い過ちは現代でも多くあると思います。

それを無かったことにするのは難しいと思いますが、目の前のできることであれば今すぐにでも行うことができます。

自分の今できることはなんなんでしょうか。

 

劇中で使用されなかった失われたソロ曲"HOME"からも読み取れるように、アナ様は故郷のことを本当に大切に想っています。

 

エルサ姉さんがいなくてもやっていけるアナ様へと成長した、非常に重要な曲です。

 

これは後の女王となることへの伏線でもあるのではないでしょうか。

 

(な、クリストフ。僕と共に見習おうな。)

 

まとめ

今回はこの映画のテーマを考えてみました。

 

・アレンデール王国のエゴ

・エルサの自身の人生

・それぞれの変化

 

上記の通り、この物語は現代でも通ずるテーマではないでしょうか。

アニメの表現力ってすごい。

 

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次回はこちらです!

(この映画重要な点が多すぎる…)

 

3. エルサについて考える

4. アナ様の魅力について

 

読んでいただき、ありがとうございます!

 

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